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年月日 出発地 主な経由地 到着地
2009.1.1(木)~1.3(土) 台北MRT古亭駅 チャーターバスにて嘉義経由奮起湖・上東埔停車場・排雲山荘・玉山主峰・排雲山荘・上東埔停車場・水里 台北MRT古亭駅

この何年か年末年始に台湾を訪問していて、2008年は嘉義から阿里山まで行きました。阿里山から南東方向に台湾最高峰の玉山(Yuisan標高3,952m)があるのを知って、いつかは登ってみたいものだと思っていました。

たまたま2008年は富士山・白馬岳・涸沢・奥穂高・八ヶ岳などの山に登っていたので、この調子なら何とか行けるかもと、玉山に行く方法を調べてみました。

その結果、次のことがわかりました。
自然環境保護のため、1日の入山者数を90名程度に規制している。
個人の単独登山は許可されない。
グループでの申し込みが必須で政府の公認ガイドと現地のポーターを雇う必要がある。
申込みは入山希望日の1か月前に締め切られ、応募者多数の場合、抽選になる。
毎年1月から3月にかけての約1か月間、山や動植物に休息を与えるための「静山」期間となっていて立ち入ることができない。2009年は2月1日から2月28日まで「静山」期間となっている。

ネットで検索すると、台湾の日通ペリカントラベルが玉山ツアーを募集していましたので、11月初めに応募しました。
応募の方法は定型フォームをメールで送信するだけです。
パスポートの写しとクレジットカード情報はメールだと危険なので、別途ファクシミリで送信しました。

ちなみに参加費用は月・火・水曜出発がUS$245、木曜出発がUS$275、金・土・台湾の祝日及び祝前日出発がUS$285、日曜出発がUS$310となっています。

台北からの往復のバス代・ガイド料・ホテルの宿泊料・3日間の食事・保険料が含まれていて、このお値段ですから、かなり安い部類だと思います。当然ですが日本から台北までの航空運賃や台湾での滞在料金等は別途必要です。

11月下旬に抽選があり、第1希望は12月31日出発だったのですが外れてしまい、第2希望の1月1日出発となりました。

玉山は台湾中央部やや南に位置します。054のフラグの場所です。


拡大してみました。中央下の方に玉山があります。
さらに拡大してみました。左上が阿里山で、そこから上東埔まで車で行くことができます。あとは玉山までひたすら徒歩です。

GPSの行跡です。排雲山荘まで比較的緩やかな道ですが、山荘から玉山まではつづら折りの道が続きます。
最後は鎖場も出現します。




スケジュールは次のとおりです。
1月1日(木)午後6時 台北MRT古亭駅集合
午後6時30分 台北出発 バスにて高速バスを一路、嘉義へ
午後11時 嘉義インターチェンジ通過
午前1時 奮起湖飯店到着 仮眠

1月2日(金)午前6時 起床
午前6時30分 朝食 中華朝粥らしい
午前7時  奮起湖飯店出発 バスで上東埔停車場へ
午前8時45分 上東埔停車場から登山開始

昼食は弁当

午後3時30分 排雲山荘(標高3,402m)到着

夕食はガイドと一緒に自炊
宿泊は2段ベッドの上で寝袋にくるまって寝る

1月3日(土) 午前4時 起床
午前4時30分 朝食 中華朝粥を自炊
午前5時  山荘出発
午前7時30分 玉山主峰(標高3,952m)到着
午前9時  排雲山荘到着

昼食は適宜、各自の行動食

午後1時 上東埔停車場からバスで台北へ向かう
午後4時30分 水里または嘉義にて昼食
午後9時30分 台北到着

続いてフォトアルバムです。関係ない写真も多数ありますが、ご容赦ください。

2008年12月30日夕刻に関空からNW69便にて台北に出発しました。約3時間のフライトでした。桃園空港での入国手続きや税関検査も無事終了しました。
関空から台北までの航空機と台北での宿泊はHISにて手配したので、現地の旅行会社のガイドにピックアップしてもらってホテルまで送ってもらいました。
今回宿泊したのは豪景大飯店(ホテルリバービュー)でした。MRTの西門駅から西へ徒歩5分程度の場所です。
1夜あけて12月31日は朝から雨でした。これから行く玉山の天候が気がかりです。
自称献血マニアの私はMRT忠義駅近くの台北血液センターに行ってきました。
台湾の献血制度は日本とよく似ています。違いは採血量です。日本では200ml,400ml,成分献血となっていますが、台湾では250ml,500ml,成分献血となります。IDカードの代わりにパスポートを提示して、問診票に健康状態等を記入、問診、血圧測定などを経て、いよいよ採血に挑戦しました。
あなたは体格が良いから500mlで良いわね。というわけで思いきり血を抜かれました。
日本の赤十字のマスコット人形「けんけつちゃん」やペンライト・合格祈願凧などを持っていったら、すごく喜ばれました。お礼にお土産をどっさり貰いました。
足りなくなった血液の鉄分を補給するために台北駅南の新光三越近くの日式しゃぶしゃぶ食べ放題の店に突入しました。1人90分で299NT$日本円で800円程度と、お安うございます。
台北駅東にある登山用品専門店「登山友」に寄ってみました。ここの店長らしい方は日本語も堪能で、とても親切です。品揃えは日本とほぼ同じで、値段は日本より3割くらい安いです。
地図とか本などを買ってしまいました。
台湾では使う人はまずないと思われる、ブラックダイヤモンドのアイススクリューは3,200円程度、日本の半値です。値切り倒したのに関わらず、おまけにステンレス製の箸をいただきました。
プリムス社のガスカートリッジはブタン・イソブタン・プロパン混合の4シーズンタイプで300円と安いです。
2009年1月1日の年明けは、テレビで拝見しました。
花火で包まれる台北101です。
建て替え中だった台湾の秋葉原「光華商場」が装いも新たにオープンしていました。新しい呼び名は「光華數位新天地」と言い6階建ての真新しい建物です。
以前は高架下のゴミゴミした店舗だったのに、仮設店舗を経て、大きくきれいになって生まれ変わりました。真面目な電脳専門店もあれば、日本のテレビ番組や映画の海賊版DVDを堂々と販売している店も混在しています。
台湾に行くと必ず立ち寄る、無線機とGPSの専門店です。こちらの店のオーナー顧さんは親切な方で、何でも相談に乗ってくれます。この日も手持ちのGPSに地図をインストールする作業をするのに店内のパソコンを気軽に使わせてくださいました。
GARMIN社製の最新のGPSが45,000円程度で買えてしまいます。日本国内で独占販売している、いいよさん、もう少し値段を下げられないのでしょうか。
1月1日(木)18:00 台北MRT古亭駅9番出口、中国信託銀行前に集合しました。
同時刻に雪山ツアーも集合しますので、間違えないようにしなければなりません。
点呼ののち、バスに乗り込み18:30に出発しました。
今回の玉山ツアーは台湾人12人・スイス人2人・スウェーデン人2人・トルコ人2人・私たち日本人2人の混成チームでした。
主催旅行会社である野訊國際登山旅行社からはガイドが3人来ていました。
参加者にはこのような名札が手渡されました。ツアーの名称は「玉山主峰健行隊」という実に素晴らしいネーミングです。
これ以外に、ザックカバー・ペットボトルの水1本の支給とアイゼンの貸し出しがありました。
高速道路を南下して、途中何度かトイレ休憩をとりながら阿里山手前の奮起湖大飯店に23:30に到着しました。1階にコンビニがあるので、食料品の調達に便利です。
山の中の老舗ホテルだけあって、落ち着いた雰囲気です。クーラーと除湿機は設置されていますが、暖房器具はありません。室内は少し肌寒かったです。
バス・トイレ完備ですが、見てビックリ、懐かしいヒノキの風呂桶です。シャワーを使うとフロアが水浸しになってしまうのが難点です。
1月2日06:00に起床、パッキングを完了してホテル地階の食堂にて朝食です。
台湾庶民の食事の際の武器(食器)は茶碗1個と箸のみです。
茶碗にお粥を入れて、玉子焼き・野菜炒め・しいたけ・魚のデンブ・メンマなど好きなおかずを粥の上に乗せてかき込みます。美味しくて胃にやさしい健康的な朝食です。
7:30に奮起湖大飯店を出発してバスに乗り込み、8:30上東埔停車場に到着、ここから徒歩で5分ほどの排雲管理センターまで歩いて行きました。
あらかじめ提出されている登山者名簿とIDカードによる本人確認を行っています。
IDカードを持たない私たち日本人はパスポートを提示しました。
管理センターから玉山登山口である塔塔加鞍部まで徒歩だと1時間の道のりですが、あらかじめ申し込んでおけば車で送迎してくれます。1人片道NT$100です。
日通ペリカントラベルを通じて申し込んでいれば、参加費用に含まれています。
塔塔加鞍部から、ゆるやかなトレッキングコースをゆっくり登ります。後ろに見えるのは塔塔加鞍部の出発点と麒芷山(大竹山・標高2,854m)です。
ほどなく孟祿亭(モンロー亭)に到着しました。
1952年秋アメリカ人の税務顧問J.E.Monroeさんが玉山登山中に近くの断崖にて滑落事故で亡くなられたそうで、彼の功績をたたえて休憩所が設置されました。
このあたりは温帯林と寒帯林の境界にもなっています。
500mおきに設置されている道標です。急いで登ると高山病になる危険があるので全長8.5kmの道のりを6時間かけて、ゆっくり歩きます。
がけ崩れで崩壊した橋です。自然災害の爪痕が随所に残っています。
13:00西峰観景台にて昼食をとりました。奮起湖大飯店特製弁当です。白米の上に鶏もも肉・メンマ・タケノコ・キャベツなどの野菜炒めなどがドカドカ乗った、台湾標準スタイルのお弁当です。美しい光景を眺めながらの昼食は最高ですよ。
弁当のおすそ分けを貰おうと金羽白眉(キンバネホイビイ)と呼ばれる鳥がやってきました。
長い尾ときれいな羽の人なつこい鳥です。
台湾冷杉の樹林帯の中を歩きます。
16:00 標高3,402mの排雲山荘に到着しました。日本の山小屋と似たような感じです。向こうの方に中華民国の旗が翻っているところが、海外に来ていることを実感させます。
とうとう、ここまでやってきました。
排雲山荘の寝室です。大部屋に2段の蚕棚が並んでいます。板張りの上にゴムのマットが敷いてあります。ツアーの客はスリーピングバックの貸し出しがあります。2人に3個の割り当てで、1個を断熱マット代りに敷いてその上にスリーピングバックにくるまって寝ます。
貸し出しのスリーピングバックは予想通り、ペラペラで寒さには耐えられなかったので、持参のエアマットとインナーシーツで暖かく過ごせました。
排雲山荘は寝る場所を提供するだけで、食事は自炊となっています。寝室裏手の炊事場でのポーター兼シェフによる調理風景です。
高所で大人数の食事を作るのは大変だと思いますが、ボールを上手に使い、禁じ手のバーナー3個組という手段で効率的に調理しています。
通常シェフがお湯もわかしてくれますのでコンロは不要なのですが、日本から持参したプリムスのイータ・エクイースプレスが高所において使用できるかテストしてみました。
ガスカートリッジはブタン60%プロパン25%イソブタン15%の4シーズン用タイプです。
高所においては低温であるのと気圧が低いので圧電点火装置では着火が困難です。マッチかオイルライターが必要になります。
一度着火してしまうと、安定した火力を誇ります。
17:25排雲山荘から眺めた日没の様子です。雲海に太陽が沈んでいく光景は幻想的です。
17:50夕食の支度が整いました。ホカホカの白米の上に、めいめい好きなおかずを乗せていきます。豚バラ肉の煮込み・野菜炒め・インゲン・腸詰め・そしてウナギまでありました。
これぞ玉山丼、スーパーミラクルテイストです。これにスープがついています。もちろんお代わりし放題、好きなだけ食べられます。
ちなみに排雲山荘では売店や自販機などありません。よって酒類も一切ありません。台湾の人は山でアルコールを飲む習慣がないのか、旅行期間中誰も酒類を飲みませんでした。

食事が終わったらすることも無いので、スリーピングバックにくるまって就寝しました。
1月3日02:30起床です。
02:45には朝食を開始しました。朝はやはりお粥でした。好みのおかずをのせていただきます。台湾では未発売のブラックダイアモンドのLEDランタンが明るく照らしてくれました。
03:00 必要な装備だけ持参して玉山山頂にアタックします。
参考までに服装は防寒着(ノースフェイスの雨具で代用)・インナー手袋・オーバー手袋・ウールの帽子・登山靴・スパッツ・使用しませんでしたがアイゼン
持ち物はザック・LEDヘッドランプ・テルモス・行動食(チョコレート・ハイチュー・ソイジョイ)・カメラ・地図・GPSでした。
たの不要なものは排雲山荘にデポしておきます。
排雲山荘から玉山主峰まで2.4kmの道のりです。傾斜はだんだん急になっていきつづら折りの登り坂が続きます。
残り400mを過ぎたあたりから、道が険しくなり、鎖場も現れます。転落しないようしっかり掴まって登ります。
山頂直下に落石よけのフェンスがあります。その先が玉山主峰と玉山北峰の分岐になっています。玉山主峰付近は風がきついので慎重に登ります。
06:30 玉山主峰に到着しました。気温は零下5度くらい、風がきついので体感温度は零下10度くらいでしょうか。
登頂した人が少なかったので記念撮影の行列もなく、ゆっくり写真撮影ができました。
2009年1月3日のご来光です。雲海の彼方から日が昇ります。日の出の瞬間、あたり一面金色に光り輝きます。感動的な光景です。
戦前台湾が日本に統治されていた時代、この山は新高山と呼ばれていました。真珠湾攻撃の際の「ニイタカヤマノボレ」「トラトラトラ」の電文にも使われています。この三角点は大正8年5月8日から28日にかけて現在の国土地理院の前身「陸地測量部」の江口萬蔵氏らによって設置されたものとのことです。
GPSによると北緯23度28分12秒0、東経120度57分29秒2と出ました。ロケーションの良さもあって多くの衛星を捕捉しています。
精度はあてになりませんが、高さは3,969m、気圧は630.88ヘクトパスカルと出ました。
山頂で暖かいコーヒーをいただいて07:00に下山開始しました。
08:30に排雲山荘に到着して、うどんの朝食をいただきました。部屋に戻ってパッキング完了しました。
10:30下山開始
13:00塔塔加鞍部到着 昼食にカップラーメンをいただきました。そしてバスに乗って水里へ向かいました。17:00水里の欣山園というレストランで夕食をいただきました。
水里は玉山の北にある梅の産地として有名な場所のようです。
鶏のモツ煮込みから始まって・ニラモヤシ炒め・海老チリ・豚の角煮・アワビの姿煮など豪華料理が出てきました。
口の横から立派なお髭がビヨーンと出ています。たぶんナマズでしょうな。淡白で美味しかったです。
水里を18:30に出発してバスは台北に向かって走ります。車中では、すっかり仲良しになった仲間と無事登頂できたことを喜び合いました。
一人一人登頂で感動したこと、辛かったことなど順番に話したり、次はどこを目指そうなどと話が盛り上がりました。
22:30に台北に到着して、解散となりました。

以上が2009年1月に台湾の玉山に登頂した際の記録です。これから玉山へ行かれる方の参考になれば幸いです。
ツアーガイドの簡さん・全さん・Davidさん、そして一緒に登頂したツアーの皆さんには大変お世話になり感謝しています。
また機会があれば台湾の雪山にも行ってみたいと思います。
ご質問があれば掲示板でお尋ねください。わかる範囲でお答えします。

参考リンク

日通ペリカントラベル
野訊國際登山旅行社
玉山国家公園
章魚樂山誌